デジタルネイティブが増えているけど、まだ、インターネット前と後を知っている世代としては、わかっちゃいるけれど、とはいえ、こっちがいい、と思うものがある。
マスを対象とする広告会社を辞めて、お客様ひとりひとりに向きあう仕事もやるようになった時に一番驚いたのが、制作のコスト感の違いだった。
コピーライターとライターさんの価格差は、当たり前で「0」が一つ違い、下手すれば「00」と二つ違うくらいだった。広告と雑誌の1ページのグラフィックも、それは確実に、「00」は二つ以上違った。もちろん、文字数とか点数といった数の比較ではないし、その役割の違いはある。それでも、慣れるまでに時間がかかった。
さらに、ネットが当たり前で、誰もがなんとなくデザインできてしまい、間違いが見つかったら、しれっと直せる。印刷をしたとしても、オンデマンドで簡単にすぐに安く出来上がる。どっちがいい、というのではなく、役割があるから、選択肢が拡がったのはいい。
しかし、今回、尊敬するアートディレクターの方と久々に仕事をさせていただき、そうだよね、そうだよな、そうなんだよー。と、何回思ったことか。
優秀なクリエイター(デザインでもコピーでも)は驚くほど、マーケティングをわかっている。
一行のコピー、イラストのタッチ一つ、むちゃくちゃ芯を捉えているし、説明ができる。惚れ惚れするくらいに。
今回は、VIをやっているので、ロゴ開発から、ブランドブックや紙ものなどを創っているのだが、妥協はない。ヒリヒリしながら、細心の注意をしながらディレクションをさせていただいている。今日は、印刷の過程である校正を見たり戻したりしたのだが、印刷の色味を合わせていく過程で苦労しているプリンティングディレクターが1ページ1ページ、オッケーをもらう度に、涙ぐみそうになっている姿にジーンときた。きっと、見えないところで、色調整が大変だったに違いない。
出来上がった制作物を見ているお客様に、それがわかるはずもないところだけれど、そうやって丁寧に作った制作物はオーラが違うと思うのだ。
クライアントさんのメッセージがイラストや写真、そしてコピーライティング、紙質の手触り、印刷加工、細部を通して、丁寧につくった分、丁寧に伝わるはずだ。
AIも使う。その便利さも知っている。でも、なんかよくわからないけど、いいよね、っていう感覚を得るのは、手をかけた氣が入ったものなんじゃないかな。歳をとったかなw。でも、これからも、そういうものの近くで仕事をしたいと感じた一日でした。

